甘党オオカミくん
~糖也side~
6限目のあと、HRが終わると俺よりも先に愛美のところに駆け寄っていったのは倉本だった。
愛美と何やら話しているが、少し離れた場所の席の俺にはその内容まではさすがに聞こえない。
女同士だからなのか、倉本が顔をかなり近づけても愛美は逃げる素振りは見せない。
それどころか、額を付き合わせてコソコソと会話を始めた。
俺があれだけ近づいたらきっと愛美は逃げるに違いない。
それなのに、なんで倉本にそれが許されているのかな。
少しばかりイラついた俺は倉本から愛美を引き離すために席を立つ。
「愛美、帰るよ」
声をかけると、隣にいた倉本が俺を見てクスリと笑う。
あんたよりあたしが愛美に頼りにされてんのよ、とでも言いたげな顔に思わず顔をしかめると、倉本はそんな俺を見て楽しそうに愛美に抱きついた。
その行動に俺の中にわずかな怒りの熱が灯る。
「なに、砂原。うらやましいの?」
ふふん、と勝ち誇った瞳を前にして俺の中のなにかが弾けた。