甘党オオカミくん
俺は愛美の腕をつかむと、なかば強引に引き寄せる。
愛美は抵抗することなく、すっぽりと俺の腕の中におさまった。
「これは俺のなんだけど。触らないでくれる?」
愛美を胸元に抱きしめ、存在を感じながら俺は口の端を上げる。
愛美の彼氏は俺なんだけど。
女だからって、簡単に愛美を渡すわけにはいかないよ?
抱きしめるのも、キスをするのも、特別なことをするのは彼氏にだけ許されたものだしね。
いくら愛美が「伊織は親友」と言ったって、友達である倉本ができることなんて限られてくるはずだし?
誰よりも近くにいられるのは俺なんだよ。
愛美をとられた倉本は一瞬目を丸くしたものの、余裕ありげな微笑みを返してくる。
なに、その笑い。
気に入らないな。