甘党オオカミくん


「愛美はいつも俺と帰ってるんだけど?」



「愛美と話があるの。それに、もういい加減離してあげて。愛美を見てみなよ」



愛美を見ろ?
いいところを邪魔しといて何を言ってるんだ。
言われなくても見るに決まってるだろ。


ため息と共に視線を戻した俺はハッとした。


えっ…?なんで?
なんでそんな顔してるの?


俺を見つめる愛美の瞳に涙が浮かんでいる。

戸惑う俺をじっと見つめたあと、愛美は俺の胸を押して逃げるように倉本のところに駆け寄った。


「あ…」



俺は愛美を引き止めることもできず、そのまま教室を後にする二人の後ろ姿を見送ることしかできなかった。


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