甘党オオカミくん
愛美に逃げられたために俺はひとり寂しく帰り道を歩いていた。
それにしても愛美が本当に倉本と帰ってしまうとは思わなかった。
その場から逃げたとしても、いつもなら昇降口で待っていたりしていたのに、今日はその姿がない。
まさかと下駄箱を確認するとそこにはもう愛美の靴はなかったのだ。
ここまで逃げられたことは今までない。
糖分切れで寄りかかったときや、そのついでに抱きしめたりしても大丈夫だったし、今日みたいに迫ることだって今まで何回もしているというのに。
…………。
でも…少しやりすぎたかもしれない。
もう少し愛美の気持ちを考えてあげればよかった。
倉本の挑発に乗ってしまった自分を反省しながら俺はどうすべきか考える。
コンビニの前を通りすぎようとして、俺は足を止めた。
コンビニの前にある旗には「いちごフェア」の文字が踊っている。
いちご…。
愛美、確か好きだったよね。
いつも甘い物もらってるし、たまには俺からあげてみるのもいいかもしれない。
もちろん「ごめんね」という言葉も含めて、ね。
俺はひとり頷くとお詫びの品を手に入れるため、コンビニに足を踏み入れた。