甘党オオカミくん
次の日。
4時間目が終わってすぐ中庭に行くと、仮名くんはお弁当を食べている最中だった。
「仮名くん」
声をかけると仮名くんは視線を上げてこちらを見た。
「ああ…昨日の」
「あ、えっと、昨日はありがとう」
「…別にたいしたことはしてないけど」
「マフィン、教えてもらったとおりに作ってみたんだけど…」
持っていた紙袋からマフィンを取り出すと、仮名くんは怪訝な表情でそれを見つめた。
それも仕方ないと思う。だって…それは昨日のものと大差ないものだったから。
「マジか…」
仮名くんは指をおでこに当てて、はあ、とため息をついた。
「が、がんばったんだよ」
「いや、それはわかるけど…」
これはないだろ、と言いたげな感じがビシバシ伝わってきて思わず身を縮める。
どうしよう。
あれだけ一生懸命説明してくれたのに、これじゃ呆れられちゃったよね。
うう。
このままじゃ、とーやにもあげられないし、伊織との約束も守れない。
ダメダメな私だけど、見放さないで、仮名くん。