甘党オオカミくん
「はぁ。わかったよ」
「ほんとっ?」
「ああ。だけど、オレにできるのは改善するところを言うことだけだ」
それでも十分。
どこが悪いのか教えてもらうだけでも助かる。
そうしてもらえたら、少しずつだとしても上手くなると思うから。
「ありがとう!!」
「そんじゃな」
仮名くんは背中を向けて歩きだした。
「え?今日のマフィンの改善点は?」
去っていく背中に呼びかけると、仮名くんは首を少し後ろに傾けてにこちらを見た。
「ぜんぶやり直し!!それと、教えてもらいたいならもっと早く来い!!」
仮名くんはそう言うと校舎の中へと消えていった。
同時に始業を知らせるチャイムが鳴り響く。
あ。
早く来いってこういうことか。
校舎の中に入ったってことは、授業に出るんだよね。
…意外とまじめなのかな。
…って、ボンヤリ考えてる場合じゃない!!
私も授業に行かなくちゃ!!
私は焦げたマフィンを紙袋にしまうとバタバタと教室に向かった。