一人じゃんけん

 全ては奴の計画だったんだ。



 始まりは数ヵ月前。


 俺は面倒臭い理科のレポートを仕上げるため、教室に一人で残っていた。

 日が沈む頃、やっとレポートを仕上げて職員室へと提出してきた。

 そして誰も居ない教室に戻ると、俺の机の上に何やら白い布が。

「なんだこれ……?」


 その時俺がもう少し警戒心を持っていれば、と今更ながら思う。

 その白い布を手に取ると、正体はすぐに分かった。


「――――っ!?」


 慌てて戻そうとするが、遅かった。


 ――カシャッ


「見ーちゃった」

 教卓の上に、唯が足を組んで座っていた。
 携帯電話のカメラをこちらに向けて。

「こ、これは、違っ――!」

「お、女の子のパンツ触るなんて、超変態ぃー!」

 唯はわざとらしく体をくねらせ、キャハハと笑っていた。
 俺は何とか弁解しようとしたが――

「写メ、撮っちゃった。学園のプリンス、長尾優斗がまさか……女子のパンツを物色!! 明日黒板に貼りだそうかなぁ?」


 ――聞く耳持たず。

 黒板にそんな変態画像が張り出されでもしたら……俺の学校生活はお仕舞いだ。


「それだけはやめろ!」

 唯はその言葉を待っていたかのように妖しげに笑った。



「じゃあ――唯のお願い聞いてくれたら、いいよ」
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