一人じゃんけん
八節 興味
「――ただのいい話じゃん」
菜々未の話をそこまで聞いて、俺はそう言葉を漏らした。
この話が、じゃんけんとどう関係あるのか全く分からない。
「まあまあ聞いてよ、――その日の夜、小椋大樹にああ言われたけど、思い出したらやっぱりムカついて。携帯サイトの日記で愚痴ってたの」
そう言って菜々未は携帯の画面を俺に見せた。
俺も数度見たことのあるサイトで、実際に日記が書かれていた。
――――――――――
聞いてよー
今日、超ムカツクことあったんだけど
私の友達、人に物借りといて返さないんだよ
しかも返さないくせに、また他の物を借りようとするの
マジムカツクし
皆もそう思うよね
――――――――――
愚痴しか書いてねぇ……。
俺ならこんなの読む気すらしないが、その日記には親切にも数個コメントがついていた。