一人じゃんけん
十節 憤慨
次の瞬間、幹ちゃんは私を見下すようにして嘲った。
「だって紅子のほうが可愛いしさ」
――は?
「そんなことで――?」
「やっぱり彼女が美人だったら自慢じゃん? それに、体も触らしてくれるし。お前、悪かないけど地味だし――」
意味分かんない……。
私の彼氏は、こんな人だったの?
私はこんな人に恋をしていたの?
はっ、涙も流れない。
最低…………!
「つー訳だから、丁度いい機会だし俺達別れよーぜ?」
こいつ……、全然悪いとか思ってないし。
ヘラヘラ笑って、ムカつく。
いや、ムカつくなんてもんじゃない。
どす黒い感情が、胸へ、そして口へ込み上げる。
「んじゃあね」
軽く手を振って歩きだそうとする幹ちゃんを、私は声を出して止めた。
「待ちやがれ!!」
今、女捨ててます。
「てめー、浮気したっつーのに詫びの一つもねーのか?」
驚いて振り向いた幹ちゃんの胸ぐらを、ぐっと掴んで引き寄せる。
幹ちゃんは私の豹変した態度にさらに驚いたのか、目を見開いている。
幹ちゃんと一緒に去ろうとしていた紅子ちゃんも、同様にこちらをまじまじと見つめる。
のぞみは、やれやれという風に首を振った。
のぞみはこんな私を何度も見て来たから。
「だって紅子のほうが可愛いしさ」
――は?
「そんなことで――?」
「やっぱり彼女が美人だったら自慢じゃん? それに、体も触らしてくれるし。お前、悪かないけど地味だし――」
意味分かんない……。
私の彼氏は、こんな人だったの?
私はこんな人に恋をしていたの?
はっ、涙も流れない。
最低…………!
「つー訳だから、丁度いい機会だし俺達別れよーぜ?」
こいつ……、全然悪いとか思ってないし。
ヘラヘラ笑って、ムカつく。
いや、ムカつくなんてもんじゃない。
どす黒い感情が、胸へ、そして口へ込み上げる。
「んじゃあね」
軽く手を振って歩きだそうとする幹ちゃんを、私は声を出して止めた。
「待ちやがれ!!」
今、女捨ててます。
「てめー、浮気したっつーのに詫びの一つもねーのか?」
驚いて振り向いた幹ちゃんの胸ぐらを、ぐっと掴んで引き寄せる。
幹ちゃんは私の豹変した態度にさらに驚いたのか、目を見開いている。
幹ちゃんと一緒に去ろうとしていた紅子ちゃんも、同様にこちらをまじまじと見つめる。
のぞみは、やれやれという風に首を振った。
のぞみはこんな私を何度も見て来たから。