一人じゃんけん
二節 翌朝
チュンチュン……
あ、雀が鳴いてる。
もう朝になったのか。
昨日は確か――――
『なんか、寒いね』
『このままじゃ風邪引いちまうぜ……』
『寝ようよ、もう』
『んー、ああ……っはぁぶるっしょーん!』
と言う感じですぐ部屋に戻って寝たんだっけな。
それにしても、眠い。
やべ、もう昼過ぎだし……。
今日が土曜で良かったと思いつつ、重い体をゆっくり起こしてリビングへと向かう。
「あ、菜々未よっす……」
眠い目を擦ってリビングのドアを開けると、菜々未が座ってテレビを見ていた。
母親はいつも、休日は仕事で居ないので気にしない。
「なんか飯ないー?」
キッチンを覗きながら聞いてみる。
そこで初めて、菜々未の異変に気が付いた。
さっきから何も言葉を発していない。
「……菜々未?」
菜々未に近づいてみると、菜々未の体が小さく震えていることに気付いた。
俺はその理由を、すぐに知ることになる。
目の前にあるテレビのニュースが、それを教えてくれた。
『繰り返しお伝えします。今朝四時頃、女子中学生桐屋紅子さん十五歳が、自宅ベランダから転落し死亡していることが発見されました』