一人じゃんけん
「じゃあねぇー!」
それから唯を家まで送った。
本当はすぐにでも別れて帰りたいのだが。
『か弱い女の子を一人で帰らす気?』
とかふざけたこと言うし……。
でも、やっと帰れる。
唯が家に入っていったところで、安堵のため息をつき、家へ帰る。
さて、あと少しで家に着くのだが、少々気になることがある。
……俺、尾行されてる?
それも複数に。
そう思う理由をあげよう。
そっと忍び足のつもりだろうが、微かに足音が聞こえる。
振り返ると不自然に目を逸らされる。
もしくは電柱の影に隠れられる。
漫画じゃないんだから、そんなところに隠れても丸見えです。
っていうか女ならまだしも、男にストーカーされる俺って虚しいな。
女にされたことならあった気が……ははは。
だが俺はそっち系の趣味は無い訳で。
家まで着いてこられたら困るし……三、二、一で走るか!
三
二
一
俺は振り向かずに走りだした。