一人じゃんけん

 プレゼント用の可愛いラッピングをしてもらった。

 それを袋に入れてもらい、店を出た。

「後は特に用事ない……よな?」

 少し俯いて、自問自答する。

 よし、家に帰ろう――

 グキュルル……

「あ」

 今おかしな音を立てたのは、……俺の腹。
 そういえば俺は、朝ご飯を食べずに出てきてしまっていた。

「…………」

 すぐそこには、空腹の俺を誘惑するかのようにハンバーガーショップが。

 俺は――

 迷わず中へ入っていった。


「いらっしゃいませ!」

 中へ入ると、店員がスマイルを無料で俺に見せる。

「ここでお召し上がりになりますか? それともお持ち帰りますか?」

 男一人、店内でバーガー食うってのはちょっと……。

「持ち帰――」
「ここで食べます!!」

「!!?」

 俺が言おうとした言葉は、誰かによって遮られた。

「昨日はどうも……」

 少し微笑みながら、俺の隣に来たのは彼女――

「のぞみちゃん!?」

 だった。
 
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