「優しいキミが、私は嫌い」
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『なぁ、宿題やった?』
椅子は動かさず、くるっと私のほうへ振り向いた彼は、
どこかだるそうで、眠そうで。
「やってあるけど、」
きっと私がそう言えば、
『見せて』って言うんでしょ?
『お、まじか。じゃ、見せて』
ほらね、やっぱり。
私、今までにキミに何回宿題見せたんだろうね。
でもテストの成績は、キミの方が上だったよねいつも。
抜かしたいのに、抜かせない。
『今回もオレの勝ち』
そうやって意地悪そうに笑ってた。