君の全てを誰よりも愛そう




「お目覚めか?」


「仁さん・・。すいませんでした」



寝過ごして仕事放棄とかまじありえない。


なんてことしたんだ。



「ったく。仕事をなんだと思ってんだ?歯、食いしばれや!!」



仁さんの拳が俺に向かってくる。


条件反射でぎゅっと目を閉じ、歯を食いしばったがいつまでたっても来るはずの衝撃はやってこない。



「なんてな~。コウが寝てたらいっつも起こしてんだろ?あの子がさ、お詫びに自分が働くからってよ・・裏の仕事全部やってくれちゃったわけよ。だから、別に怒らねえよ?」

「紗絵が・・・。そうでしたか、すいません」



どうやら紗絵のおかげで俺はゆっくり眠ることが出来たらしい。



「あの、紗絵は・・どこに?」

「それがな?そのへんのことは何も言わずに行っちまって。迷惑かけてすいませんでしたって言ってたよ。どうやら家出娘ではなかったらしいな」



紗絵な・・。


もう会うこともないかもしんないし、こんなに考えることもないんだろうけど。


なんか気になるんだ。



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