君の全てを誰よりも愛そう
中学二年生の時。
俺はとっても不思議な女の子に出会ったんだ。
彼女の名前は 佐伯 紗絵。
同級生の割にかなり大人びていて、
いつも一匹狼で。
毎日登校してくるわけではない女の子。
彼女は誰かと話すとき、いつも笑みを浮かべている。
・・・ニコリと穏やかに微笑んでいる。
ああ、綺麗に笑うなぁと思ったのが第一印象だった。
今思えば、この時にはもう・・好きだったんだと思う。
けど・・・思春期の俺はちょっぴりシャイで遠くから見つめることしか出来なかった。
名前を呼んで話しかけたい。
いつもそう思うのになかなか出来ない俺。
放課後の教室、今日は佐伯が珍しく教室に残っている・・・つまり、チャンスなんだ!
人もまばらだし、目立つこともないだろう。
そう!チャンスなんだよ、俺。
佐伯、じゃあな!
これだけでもいいんだ。言え、俺。言えよおおおおお!
「さ、さささささささ・・・さみぃな~今日は~」
佐伯に接近するもキレイにターンを決めて自分の席に戻ってきてしまった、
くっそおおおおお!!チキってんなよ、俺!
呼べばいいじゃねーか!クラスメイトなんだし。
さ、さささささ佐伯!ってよぉ~・・・。
いや、噛みすぎだ。
自問自答なのに噛みすぎだ。
落ち着け、落ち着けよ俺。
そんなチャレンジを繰り返して数週間。
未だ進歩なし。
だせーぞ、俺!!!