君の全てを誰よりも愛そう
「ってか、コウさんに戻ってるな?俺おっさんぽい?」
ははっと笑えば焦ったように首を振る紗絵。
「こ、コウくん!ですね・・」
照れてるのか、顔が赤くなってるようで・・。
なんだ、それ。
マジ可愛いじゃんか。
俺、まじでおっさんぽい・・?ははは。
「こんなとこで、どうしたんだ?また鍵忘れた?」
「あ、訳があって家に帰れないんです。いつものことなので、気にしないでください!それじゃ・・」
最後にニッコリと笑った紗絵が踵を返し去ろうとする。
「待って」
無意識のうちに紗絵の腕を掴んで自分側に引き寄せた。
その、ニッコリした紗絵の笑顔が。
俺にはどうしても笑顔にみえなくて。
瞳の奥の暗闇を、放っておけそうもなくて。
「夜は、冷えるだろ?俺んちで休んでていいから」
あ、こんなこと言ったら怪しいか!?
「あ、俺また昨日のカフェでバイトあるし。無理強いはしないけど・・中学生が夜まで制服でふらふらすんのは危ないだろ?」
紗絵はまたポカンとした顔で数秒固まってからゆっくりと頷いた。