君の全てを誰よりも愛そう




そこからはいつも通りに仕事をこなして、


書類を取りに来てくれた斎藤さんに無事に書類を渡した。


平日の中日ということもあって客の引きが早かった今日はいつもよりも早めに閉店。



「コウ、来月から新作ケーキだそうと思ってんだが・・。これ、紗絵ちゃんに味見してもらっといてくれ」



閉店して掃除と次の日の開店準備を終えた俺の前に仁さんから差し出された二つのケーキ。


たくさんフルーツののったタルトと、ブルーベリーののったクリームチーズケーキ。



「俺にはないんですね?」

「アホか。男には厳しーんだ俺」



とかいいつつも、俺の大好きなプリンもそっと机に置かれている。


ははっ!仁さんのこういうとこ好きだな俺。



「じゃ、今度紗絵また連れてくるんで」

「なんかあったらいつでも言えよ。力になれることならなってやらんでもない」



素直じゃないけど、優しい人。


さーてと。


紗絵は寝ちまってるだろうけど、さっさと帰ろう。


また魘されてるんじゃないかと仕事中もずっと心配だった俺は、明け方の薄暗い道を勢いよく走り抜けた。



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