君の全てを誰よりも愛そう



「あ、お帰りなさい」




深夜というか明け方に帰宅した俺は、寝ているであろう紗絵を起こさないようにそっと家に入ったが


リビングにたどり着けば紗絵がこちらを見やっていた。




「寝てなかったのか?」


「この時間はあんまりいつも寝れないんです。なので心配しないでください」




いつも、ねぇ。


こんな時間に寝ていられない環境ってことなのか?




「そーだ、仁さんから紗絵にケーキ!こんな時間だけど、食う?」

「ケーキ・・!」



目の前に差し出した四角い箱をみて目が輝きだす紗絵に思わず俺も笑みがこぼれた。



「明日・・ってかもう今日か。それの感想仁さんに伝えなきゃいけないから一緒に来いよ」



もぐもぐと一生懸命にケーキを頬張る紗絵が可愛い。



「え、でもお邪魔じゃ・・・?」

「平気だよ、仁さんと俺が来て欲しいんだからさ。学校終わったらあの自販機で待ち合わせな?いい?」



紗絵の前に小指を突き出せば、遠慮がちに自分の小指を絡ませてくれた。


なぁ、紗絵?


紗絵が何かを抱えているんであれば、俺はそれをどうにかしてやりたいなって・・・思ってんだけど。


紗絵にとっては迷惑なことなのかな。


絡み合った小指に照れ笑いする紗絵をみて、色んな感情が少し疼いた。





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