君の全てを誰よりも愛そう


カランカラーンと入口の鈴が鳴り響き、現れたのは常連のおっちゃん・・の池谷さんだ!


フロアに出ていろいろとしていた俺もさりげなく仁さんのいるカウンターへと向かう。



「いらっしゃいませ、池谷さん」

「お久しぶりだね、マスター」



仁さんに聞くまでは池谷さんが中学の教師をしているなんて知らなかった。


フロアに出たり裏方ばっかでカウンターに座る人とはなかなか接点もなかったしな。



「いつものですか?」

「ああ、頼むよ」



手際よくアメリカンコーヒーとビターチョコを池谷さんの前に差し出す仁さん。


よくある組み合わせだな。ってそんなことはどうでもよくて・・。



「なんか疲れた顔してますけど、お仕事大変なんですか?」



おお、仁さんナイスだ。



「まぁね。実は、僕が教科担をしているクラスの子が・・DVを受けているんじゃないかと噂になっていてね。どうしたもんかと」



DV!?まさか紗絵とか・・いやいやでもなぁ。暴力を受けている感じはないような気もするし。




「そうでしたか・・。でも確証がない、ってところですか」

「そうなんだよ。子供たちの間でいつもそのこの背中に痣があると噂にはなっているんだが・・・。見せろとも言えないしな」

「女の子なんですか?」

「ああ、女の子だよ。まだ二年生だし、これから先を思うとそれが事実なのだとしたらどうにかしてあげたいんだが・・。難しい問題だからねぇ」



そりゃそーだよな。


女の子相手に背中を見せろとも言えないし。


でも引っかかるのは・・二年生の女の子ってとこだ。


紗絵にまるまる当てはまるじゃんかよ。


大雑把な情報しかないからまだ分からないけど嫌な予感しかしない。






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