君の全てを誰よりも愛そう


小さい頃、泣き声がうるさいからって両親に押し入れに閉じ込められたことがある。


その頃にはもう誰も助けてくれないって分かってたからじっと耐えていたのに。


コウくんに出会って、手を差し伸べてくれる人が出来て・・・。


一人が怖くなってしまった。


コウくんのこと、好きになればなるほど・・・コウくんと離れるのが怖くなっちゃったの。


怠くてもいいから、コウくんのいるお家に帰りたい。


コウくん・・・。



ピロリロリン♪



「メール・・?マナーモードにするの忘れてた」



とにかくマナーモードに設定して、メールを開けばコウくんからだった。


携帯持ち込みが大丈夫な病室で良かった。



《体調どうだ?紗絵がいないとベッド広くてさみしーぞ、俺》



私も、寂しいよ。


コウくんが隣にいないと、寒いよ。



《会いたい・・・》



いつもなら、絶対に言わない言葉。


コウくんのバイトが忙しくて全然会えない時も、こんなこと言わない。


迷惑かけたくないし、これ以上負担になりたくないから言わないのに・・。


今日はどうしも気持ちが溢れちゃう。



《紗絵、イヤホン持ってる?》

《持ってるよ》

《んじゃ、つけて待ってて》



コウくんからそのメールが来てから2分後に、電話がきた。



「もしもし・・」

「ははっ・・。紗絵だ・・。病院じゃあんま声だせねーだろ?俺喋るから寝たくなったら寝ていいし、返事するときは電話口をたたいてくれ」



私が眠れないのを分かってて電話くれたのかな・・・?


コウくんは本当に私のこと分かってくれてる。


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