腹黒王子様とお見合いした結果
「昔、一度行きたいと駄々をこねたことがあったんだ。
だけどそんなことは蓮見家を継ぐことに何の意味もないし
価値もないそう言われてしまったんだ」
「そうだったんですね」
陸人さんはきっと小さいころ、したいことたくさんあったんだろうな。
だけど後継者として、蓮見家として生きて行くことを強制されて育ったんだ。
私にだってそれくらい分かる。それがとても辛く、悲しい事かも。
空いている手で、陸人さんの手をそっと握ってみた。
「なんだよ、励ましてくれんのか?」
「そ、そうですよ。悪いですか?」
すごく緊張するけれど。手汗が多分半端ないけれど。
それでも陸人さんの手をぎゅっと繋ぐ。
「ガキのくせに」
「その、ガキと結婚したのは誰でしたっけ?」
「お前言うようになったな」
なんかいい感じかな、そう思っていると突然携帯が鳴りだした。
陸人さんは悪いと言って携帯に出る。
「もしもし、俺だ。ああ」