腹黒王子様とお見合いした結果
自分では信じられないくらい大きな声が出てしまった。
周りの人たちが私たちの前を通るたびにじろじろと見る。
待って、本当に男の人なの?頭がついていかない。
頭がパニックで、何も考えられない。でも嘘をついている感じはしないし。
「お前もしかして嫉妬してたのか?」
「ち、違いますよ!何言ってんですか!?」
「俺はちゃんと真実をお前に伝えたぞ」
放そうとする手を再度強く握られる。
陸人さんの真剣な表情。はずだけど。
まっすぐ見つめる瞳。力強い手。
この状態で逃げることはできない。
「言っておくけど。俺はお前に約束した事を守ってるからな」
「約束って」
「他の女には触れないっていうヤツだよ」
「陸人、さん」
「だからお前も正直になれ。千草」
陸人さん、もし私が正直になったのなら
あなたはこの気持ちが何なのか教えてくれますか?