腹黒王子様とお見合いした結果
「研修旅行なんて行きたくない..」
ふと我に返ると、ぽつりとひとり言のように呟く昌ちゃん。
どうやら本当に本気で自然研修に行きたくないらしい。
「昌ちゃん、大丈夫?」
「ほっておけよ。あいつ中学校の時にもあった研修で
虫にさされまくってひどい目にあったんだよ」
「孝大の馬鹿!すぐそうやって馬鹿にして!」
「馬鹿はそっちだろ?こっちは心配してんだよ」
「うるさい!あんたに心配なんてしてほしくないし!
虫刺され薬は必需品だよね、あとは虫よけとか…」
なんかいつもと違って立場が逆転してる気がする。
宝生君も心配してるとか言いながらにやにやしてるし。
「そういえば、蓮見さんはなんて言ってるの?
今回の研修旅行について」
「あ、うん..」
「そりゃあ学校行事だし仕方ないよな。
自分だって仕事でいつも違うとこにいるんだろうし」
「そう、なんだけどね…」
あれは研修旅行の手紙をもらって帰った日だった。