腹黒王子様とお見合いした結果
私の説明に陸人さんの表情が険しくなる。
も、もっと安心するような事を言わなきゃ
「で、でも大丈夫ですよ!ちゃんと手当しましたし!」
「あいつには何もされてない?」
「はい、ちゃんと約束は守れて…」
守れてなんかない。
この人に今嘘をついてもいいの?
「千草?」
不思議にそうに私を見る陸人さん。
駄目だよ、やっぱり。何も無かった事に出来ない。
「あの、陸人さん」
私の言葉と同時にコンコン、と部屋のドアのノック音が聞こえた。
陸人さんが返事をするとドアが開く。
「雪村さん、ごめん」
ドアを開けるなり、いきなり私に謝るその人は泣きそうになりながら私の傍に寄ってきて私の手を握ってきた。