腹黒王子様とお見合いした結果
急な事で陸人さんの手の力が緩み、その手は中条君の手の中だ。
「ち、ちょっと中条君!」
「ケガ、やっぱりひどかったんだね。
ごめん、舐めただけじゃ駄目だったね」
「な、舐める!?」
中条君の言葉に陸人さんが大きな声で叫ぶ。
「ち、違うんです!陸人さん、これは」
「雪村さん、俺がもっと血を吸っておけばよかったね。ごめんね」
私には分かる。
この人、やっぱり油断出来ないっ!
きつく中条君を睨むと中条君は私に笑顔を見せた。
陸人さんはぼうっとしていて、視線がどこにあるか分からない状態だ。
「帰る」
「あの、陸人さん?」
ふらふらと歩き出す陸人さんの背中を追いかけようとした私の手を、中条君が強く握る。
「言ったよね?俺は君が別れるまで邪魔するよ」