腹黒王子様とお見合いした結果

私がやっぱり子供で、陸人さんの事を分かってないから?

だから、愛想をつかしてしまったんだろうか。


「あ、あの。お客様?」


泣くな、泣くな

どんなに我慢しても涙が溢れてしまう。

陸人さん

私はもういらなくなったの?


「ごめん、なさい」


謝るから。もう何だってするから。


だから陸人さん、お願い。


私の前に現れてよ!



「千草!」


私が願ったからか、それとも奇跡が起きたのか。

陸人さんが私の前に現れた。


「陸人、さん」

「こっちに来い」


突然腕を掴まれ、歩き出す。
そっか。ここは会社だ。私ってばなんて駄目なんだろう。
こんなところで泣いちゃうなんて。

ただでさえ、制服なのに。

陸人さんが変な目で見られちゃう。


「あの、社長。横山様がお見えになられてますが」

男の人が陸人さんに声をかけるけれど、その手を放す気配はない。
私が放してみるけれど、陸人さんは強く掴んだままだ。

「悪い。すぐ行く。今は妻が大事なんだ」


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