腹黒王子様とお見合いした結果
妻が大事とか。
簡単に言わないでよ。
みんな誤解しちゃうよ。
陸人さんだって。
私も。
「すぐに済むから待っててもらうよう伝えてくれ」
「分かりました」
エレベーターに乗り込むと、やっと手を放してくれた。
掴まれた腕がひりひりと痛む。
私は陸人さんを見ることができず、床をじっと見つめていた。
「どうして来た?」
低い、陸人さんの声がエレベーターに響く。
怒ってる、よね。やっぱり。
「ごめんな、さい」
「いや、俺は何でお前が此処に来たのか聞いてんだけど?」
「ごめんなさい」
「だから!!」
イライラさせてる。
やっぱりここに来るべきじゃなかった。
「私はもういりませんか?」
怖いけど、気がついたら言葉が出た。
一番聞きたくないこと。だけどきっと陸人さんは望んでいると思うこと。
「お前はバカだな」