腹黒王子様とお見合いした結果
息を吐く声がして、それからすぐに腕を引っ張られて抱きしめられた。
「陸人さん?」
「反省してんのか?」
「は、い。してるっ…して、るから帰ってきて」
いつもみたいに、私をバカにしてください。
いつもみたいに、頭を撫でてください。
「陸人、さん私」
そこまで言うと、陸人さんの唇が重なった。
「俺も悪かった。大人気なかった」
「私が悪いんです」
「俺がって言ってんだろ」
「いえいえ。私が」
「うるせーな」
再び重なる唇。
今までよりも一番甘くて、気持ちが溢れそうになる。
ちん、とエレベーターが鳴って扉が開くと九十九さんが呆れたよう顔で私たちを見ている。
「二人とも。ここは会社ですけど?」
そ、そうでした
慌てて離れようとする私に、陸人さんはニヤリと笑ってわざと私に抱きつく。
「羨ましいだろ?」
「はい、本当に」
「本当にそう思ってんのかよ」
「もちろん。この後横山様がお待ちの事も頭に入れてのこの行動ですよね」