腹黒王子様とお見合いした結果
陸人さんは私から離れて先を歩く。
その少し後ろを歩く九十九さんがわざと歩くスピードを落として私の横に並んだ。
「ありがとう」
「え?」
九十九さんが何故私に感謝をしてるか分からなくて首をかしげた。
九十九さんは小さく笑って続けた。
「ここ数日の彼は使い物にならなかったので。
ですが安心しました。どうやら解決したみたいですね」
「ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ。社長もきっと好きな方にこうして来てもらって喜んでますよ」
「へ?好き?」
「昔は人を愛せるか分かりませんでしたけどね。やはり想い、想われている相手が傍にいてくれるのはいい事ですね」
想い、想われ?
それってどういうこと?
「おい、九十九行くぞ」
「はい、社長」
それでは、と九十九さんが一礼をして陸人さんを追いかけた。
好きって。
私が?陸人さんを?