腹黒王子様とお見合いした結果
どきん、名前を囁かれただけなのに。
胸が高鳴る。
鼓動がどんどん速くなる。
「な、何ですか?」
「土曜日までには必ず帰るから」
ああ、どうして今、そんな優しい言葉をかけてくれるかな。
意地悪なままだったらいいのに。
「気をつけて行ってきてくださいね」
「はい、却下」
「な!何がですか?」
「そういうときはいってらっしゃいって言うんだよ」
「…いってらっしゃい」
「よくできました」
それじゃあ、そう言って蓮見さんは電話を切った。
ちゃんと取り返さないと。
それで土曜日に出しに行かないと。
翌日。私は今日も早く家を出て学校に向かった。
教室に入ると既に中条君は来ていて、机に向かって何かをしている。
「あの、中条君」