腹黒王子様とお見合いした結果


私の声に振り返る、中条君。


ぎゅっとこぶしを作って中条君に近づいた。


「おはよう、雪村さん」



私の覚悟とは反対にいつもの調子の中条君。



だからって私の態度も気持ちも変わらない。



「中条君、昨日のモノ、返して欲しいんだけど」


「昨日のって何かな?」


意地悪だ、この人も。


「私の、婚姻届」


「ねぇ一つ訊きたいんだけど」


「な、なに?」


「この婚姻届、出したら雪村さんは結婚するの?」


「そ、そんなの!中条君には関係ないと思うけど」


「関係ない、か」
< 79 / 206 >

この作品をシェア

pagetop