嘘つき少女は君を愛せなかった
私はにやっと口角を上げる。

「ちょっと待ってて♪」

「はあ?」

辰巳は意味がわからんとでも言うような顔で呟いた。

それを無視って私は水タンクの裏に顔を出す。

「みーっけ。」

「ひあぁあ!?」

これでもかというくらいの奇声を発して、

水タンクの裏から飛び退いたのは思ったとおり、

櫻井だった。

「そ、その!いつも見てたとかじゃなくて、たまたま見つけちゃったとかで・・・。
え、えぇとすみません・・・。」

謝る理由が不明すぎるけど、

覗いてた理由ははっきりとしてる。

私は前かがみになって桜井の耳元でこう囁いた。

「あんた、辰巳のこと狙ってるでしょ?」

「ふええぇえ!??」

またもや奇声を発した、

櫻井に私はクスクス笑いながら

「顔真っ赤。図星かあ~?」と嫌味っぽく言った。

「そ、そんな!!

彼女がいる人を狙うなんてしないよ~。ははっ。」

乾いた笑顔で言う彼女の言葉にもう説得力はない。

「大丈夫、あいつに彼女いたら、

ブラックホールにまでぶっ飛ばして、

二度と帰ってこれないようにするから。」

「それは・・・。浮気したら許さないってこと?」

控えめに聞いてくる彼女のその言葉に私は

「はあ?」と呟く。

「ひい!」と声を上げながら、

やけにでかく見えるメガネを落っこちそうになる姿は、

本当に健気で可愛らしい。

私と真反対じゃないか。

「言っとっけど・・・あいつバツイチだからね?」

「嘘・・・。」


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