嘘つき少女は君を愛せなかった
「ざんねーん。今回ばかりは本当。まあ、頑張んな。」

私がひらひらと、手を振りながら戻ろうとすると、

「ままってください!」と震えた声が聞こえた。

泣きそうな目で口を開く。

「じゃ、じゃあ、

矢崎さんは岡田くんの彼女じゃないんですね!?」

私は振り返って微笑む。

「ばーか。それ、1×1が1なくらい常識。」

「あ、ありがとうございます!!」

目をうるうるにして、ホッペを桜色にしている彼女は

どうやら相当嬉しいみたいだ。

「辰巳ー?もう行くよー。」

「うんって櫻井さん!?」

櫻井の姿を見て一気に赤くなる辰巳も

かなりわかりやすい。

私はクスクス笑いながら階下へと向かった。
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