嘘つき少女は君を愛せなかった

嘘つきと少年

「今日、恋くんに、告白しようかな♪」

「ええ!?まじ~、がんば!」

「ありがとう。」

そんな、告白あるある会話を冷ややかな目で見る私こと、矢崎 涙(ヤザキ ルイ)。

どうせ、振られちゃうのに、最初だけ騒いじゃって。バカみたい。

「ルイ、飯食お、オレ今日人気のくるみパンなんだよね。」

「あ、そっ。屋上行こ。」

口数少なく、素直じゃない私に構ってくれるこいつ、岡山 辰巳(オカヤマ タツミ)には
口には絶対出さないが、すごく感謝してる。

まあ、イトコだから話してくれるのかもしれないけど。

「梨花子もさそおー?」

そんな、甘えたような声を出す、辰巳に「キモイ」とピシャリというと、辰巳は

「え、酷!そんなん言うなら、オレ、梨花子とたーべよ。」

なんて言い出した。

「どーせ、梨花子ちゃんが、私を誘ってくれるし。」

ああ、こんな時に、素直に、「ごめん」と言えたらいいのに。
私はとことん馬鹿だ。

3年の教室のある、3階まで上がり、B組の中を覗く。

この学校は1階が1年、2階が2年、3階が3年という、

平凡極まりないクラス構成なのだ。

まあ、そのおかげで私たち一年は、楽しているのだが。

「ええ!梨花子部活のミーティングでいないんですか~。

ありがとうございました。」

いつも、梨花子ちゃんと一緒にいる、

すずな先輩は申し訳なさそうに

「ごめんねぇ。」と言っていた。

「梨花子ちゃん、ミーティングなんだ。

ま、部長だからサボれないよね。」


「そうだね。ルイも、部活入れば

弁当一緒に食べる友達くらいは作れただろーに、ねえ?」

長い前髪の間から覗く、曇りのない純粋な瞳と目が合い、

ドキッとして、目をそらしてしまう。

こいつ、意外とカッコイイ・・・

い、いや冗談うそだよ!?

ちょっと思ってみただけだもん。

「友達なんか、いらないし。」

思わずつぶやいた。

すると、屋上への階段をのぼっていた、辰巳が急に止まり、鼻が彼の背中にぶつかる。

「ちょっ、止まんないで___」

「止まんないでよ」そう言おうとした時だった。

辰巳がこっちを睨みつけてるのがわかった。

「た、辰巳・・・?」

私は、少し動揺する。

「ルイは昔から、嘘つきすぎ。

僕、ずっと傍にいたからわかるんだよ、

ルイは嘘つくとき、目をそらすんだ。そうでしょ?」

自分にそんな特徴があったなんて・・・。

「じゃあ、私も言わせてもらうけど、

辰巳は怒ったり、イラついたりしている時は

俺ではなく、ぼくになるんだよ!?言い方!。」


「え、うそ!?」


嘘じゃないし・・・。相手を真っ赤にさせる、

この攻撃はなかなかいい。

「じゃあ・・・、競争しよ!?

どっちが早く、彼氏・彼女作れるか!

僕じゃなくてオレが勝ったら僕はもう、ルイと話さない。

ルイが勝ったらすきにしていい!・・・どう?」

話をそらすな!!!

その時一瞬、私の中の「何か」が溢れ出してきた。

「・・・いいわよ。」


!? 

良くない、嫌だ、辰巳と話せないのは嫌だよ・・・。

嘘つき少女は今日も嘘をついたんだ__

「あれ!?二人待っててくれたの??

いや、ルイと辰巳のペアでそれはないか。

じゃあ、喧嘩してたんでしょ~。

お姉ちゃんが聞いてあげるから言ってごらん!」

とても悪いタイミングで来た、

「梨花子お姉ちゃん」。

「それはないか」って・・・。

私と、辰巳ってどんだけ悪印象!?

あ、たぶんきっと80%くらい辰巳のことだろう・・・たぶん。

「ほら、何があったの?た・つ・み!」

しらばっくれる辰巳に梨花子ちゃんが

しびれをきらしていた時。

「山田が、畠山から櫻井に心変わりしたんだって。」

私はぶっきらぼうに言う。

「はい!?そんなのオレ聞いてねえぞ!??

山田め・・・!」

辰巳はそういうと、

2段飛ばしで階段を上りきり、屋上への扉を開ける。

あ~、そういえば山田、

屋上でいつも飯食ってたっけ。これは面白い・・・!

私は抑えきれず、「くくっ」と笑いをこぼす。
そんな私の姿を見て、

梨花子ちゃんの、顔からサァーと血の気が引いていく。

思っているのは私と同じ事。

「まさか・・・!辰巳まって___!」

バアァァン!!!

「やぁまだああああ!!心変わりってなんだよ!?

お前、畠山に一途っていってたじゃん・・・!」
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