嘘つき少女は君を愛せなかった

騙された嘘つき

週明け。

眠い目をこすり学校に登校する。

「ね、え、ルイ?なんか、俺らのクラス、

人あつまってない?」

辰巳の声に顔を上げた。

「んー・・・。確かに。」

一体朝っぱらから、なんなのよ。

大あくびをしようとした時だった。

「来た!」

だれかの一声でそこにいたたくさんの人が

一斉にこっちを見る。

「は、はあ?辰巳!あんたなんかした??」

「いやー、してないはずだけど・・・」

____誰かが目の前に仁王立ちする。

「ねえ!矢崎さん、夏目くんと付き合ってるってほんと?」

・・・は、はああああああぁぁ!?

「どいて!!」

「きゃあ!」

目の前にいた女子を押しのけて私は廊下を蹴った。

聞いてないよ、そんなの・・・!

古びた階段を二段飛ばしで駆け上がる。

絶対あそこに居るはずだ。

ギィィ・・・

「・・・やっぱり、ここにいた。」

「やあ。」

冷たい風が頬を撫でた。

屋上。ここは私たちの出会いだった。

「夏目・・・。あんたでしょ、私たちが付き合っているっていう噂、広めたの。」

「うん。そうだよ。」

意外と素直だな。

フェンスに寄りかかりこちらに背を向けているため、表情はわからない。

「いいじゃん、

私とあいつは付き合ってないっていえば。」

「ばーか。それじゃ、付き合ってるって言ってるようなもんじゃん。」

私は、私は___

私の本音。

「夏目のそばには、ずっと居れない。」

これが、私の本音だ。
< 21 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop