嘘つき少女は君を愛せなかった
放課後4時、5分前。

約束の場所に行けばもうそこには辰巳がいた。

相変わらず律儀なやつだ。

「ルイ。」

こっちに気づいた辰巳が怖いくらいの真顔で言った。

ああきっと怒鳴られるんだろうな・・・

そう思った時だった。

----ぎゅう

強く優しくだきしめられる。

「ありがとう。」

「・・・??」

なぜ、辰巳が礼を言うのだろう。
みんなほんとにおかしな奴ばっか。

だけど、その言葉が嬉しいと思ってしまう私は、

きっと・・・誰よりもおかしな奴だ。

「おれ、お前に嫌われたかと思ってずっと怖かった。」

「ばか、誰が嫌うか。」

ホントは嘘。

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ嫌いだった。

誰かに愛されて、同時に愛される辰巳が。櫻井さんが。

だけど今回は嘘じゃなくていい。

だって今は・・・

「よくわかんねーけど。おれまだ櫻井と付き合ってねーから。

だから・・・安心して俺のそばにいていいんだからな。」

こいつらがちょっとだけ好きだ。

「安心できないよ。
『まだ』ってことは櫻井さんと付き合う気満々じゃん。」

ニヤッとすると、辰巳は見事に真っ赤になった。

やっぱり誰よりも面白いや。

抱きしめていた手を辰巳は話すと視線を逸らしたまま辰巳は言った。

「お前に足りないものを教えてやる。それはな・・・」
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