嘘つき少女は君を愛せなかった
淡々とした1学期最後を終え、用があるという辰巳を待つため、学校を出た辺りだった。

1、2年生はそのまま活動をする部活が多いようで、校門から出てくる人は3年生ばかりだ。

「レン!クッキー食べてくれた?」

「もっちー。
チョーうまかったよ!さすがサオちゃん♡」

気持ち悪いにこにこ笑顔で女の子と歩いてるのは紛れもない、夏目だ。

う、浮気…?!

じゃないじゃないじゃない…

べつに浮気してたってどうってことない。

もともとそんな感じのやつだし別に好きでもない。

それになんも想い入れしないって決めてるし。

…平気だ。

平気なのに…

−−−−なんでこんなにもモヤモヤするんだろう。

そう、辰巳が追いかけてきてくれなかった時のような。

この感じは。

ずっと昔にもあった気がするけどもう忘れてしまった。

私が動けずにいると後ろからトンと肩を叩かれた。

「何すんだ!!」

「いでぇ!!」

バシッと手を振り払おうとすると誤って相手の鼻を叩いてしまった。

「あ、ごめん…て辰巳!!」

私がビックリして見つめてると辰巳も驚いたような顔をしてこっちを見つめる。

…なんだこれは。

いたたまれなくてなにか言おうと思った時だった。

辰巳は本当に心から嬉しそうに微笑んだ
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