嘘つき少女は君を愛せなかった
「んー…」

…!

夢…見てたんだ。

辰巳があんなこと言うから…!

ていうか…

「なんであんたいるのよ!!!」

バッチーーーン!

「いってええ!起こすならもっと優しくしてよ!
目覚めのキ…」

「するかばか!!」

私のベッドにいつの間にか夏目がいた。

もちろん招いた記憶もないし、家に入れた記憶もない。

「あんたそこで待ってて、警察呼ぶから。」

「いやいやまてまて。」

「…そういえばあんたさ。」

そういえばこいつ、今日女と帰ってたんだっけ。

聞いていいんだろうか。

「なーに?ルイちゃんの話ならなんでもきーてあげる♡」

「今日誰と帰った?」

その瞬間すーっと夏目から血の気が引いてくのがわかった。

けれど、すぐにいつもの笑顔を見せる。

「切ないことにねえ、今日ぼっちだった~」

…。

私に言えないこと、そんなのあるに決まってるけど。

なんか嫌だ。

「…お前にはぼっちが似合ってる。」

「え、ひどひどひどい。てか夏休みどっか行く?

従兄弟ちゃんとかとどっか行くんならおれも同席するー」

「行かねえよ、行っても連れてかねえよ。」

秘密があるなら私にもヒミツ、作らせてよ。

そうでなくちゃ…また追いてかれた気がしてしまうから――
< 35 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop