時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
輝夜……
「うー、おはよう!
なーに?朝からニヤニヤして」
……はっ!?
校門の前で声を掛けてきたのは
親友の
橘 澪衣 (たちばな れい)
容姿端麗な優等生で
私のことを、うーと呼んでいる。
そして私は
月ノ瀬 愛舞 (つきのせ うぶ)
16歳の高校一年生で
澪衣とは同じクラス。
『…えっ!?ニヤニヤしてた!?
おはようっ、澪衣』
「してたしてた!
悩ましい顔してたよ!ふふっ」
「ああっ!さては
嘩純くんの件ですね?」
『…ち!?違うっ!!』
「いいのいいの
照れないで、乙女!」
嘩純くんというのは
如月 嘩純 (きさらぎ かすみ)
同じクラスの優しい人で
最近、彼に告白されたばかりだった。
『お、お、お…乙女って!?』
「もう!可愛いな、うー!」
澪衣にからかわれながら
私達は、教室へと向かった。
「ほらほら、来たよ!
うーの王子様!」
嘩純くん達が教室に入って来ると
澪衣はワクワクした様子で
私の方を見た。
『もうっ!からかわないでよー!』
「だって、うー可愛いんだもん」
『また、からかうっ!!』
それより……
『私で、いいのかな?』
『私、なんの取り柄もないし…』
「可愛いよ、うーは!」
「世間様がどう思おうと
私の中では、可愛いもん!」
『それ、褒められてるの?
世間様が…って』
「あはは!
褒めてるよ、もちろん!」
『そっか!ありがとう!』
喜んでいいのかな
褒められたのかな
でも、澪衣はとにかく
いつも私に甘かった。
王子様か……
輝夜はまさに
王子様のイメージだな。
「あ!またまた
ニヤニヤ発見しました!」
『え!?…ええっ!?』
澪衣にそう言われて
急に恥ずかしくなった。
「聞いてみたらいいよ
私のどこが好きなの?って」
「ねっ」
『う、うん…』
男の子に初めて告白されて
舞い上がってしまったけど
正直、どうしていいか
分からない。
嘩純くんのことが好きになって
恋をする日が来るのかな。