時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】


中学からバレー部なんだ。

まだまだ
知らないことばかり。


これから
色んな嘩純くんを知って
好きになれたらいいな。




「うー、お待たせっ
帰ろう!」


部活を終えた澪衣が
駆け寄って来た。


『うん!お疲れさま!』


「ありがとう!
あ!そうだ、うーにお裾分け」


『ええ?なーに?』


「ふふっ、手を出して!」


澪衣は、ポケットから
キャンディを取り出すと

私の手の平の上に並べ始めた。


『わー!可愛い!!』


「でしょ!先輩に頂いたの」


澪衣の手、すごく綺麗。

爪はツヤツヤに磨いてあるし
手の平は小さくて
指は細くてスーッと長い。


私の手、小さくて丸い。

土に触れるから
指先は常にガサガサ。



『あのね、澪衣
今日、嘩純くんと話したよ!』


「ほんと!?
うー、頑張ったね!!」


『う、うん、でも…』


嘩純くんに
勘違いさせてしまったことを
澪衣に話した。


「あはは!嘩純くん
バレーのことだと思ったんだね」


『うん』


「でも、頑張った!頑張った!」


『……でも私、不器用すぎて
嘩純くんと上手く恋愛できるか
自信ない…』


「うー?…ヨシヨシ」


澪衣は、優しく撫でてくれた。


「私は、恋愛が上手なうーなんて
嫌よ!」

「ううん、恋愛には
上手も下手もないと思う」

「好きになるのは、自然なことだし」

「うーは、ずーっと
純粋なままでいてね」




澪衣……



『うん!
澪衣、ありがとう!!」



自然なことって
なんて素敵な言葉なんだろ。


求めるものでも
与えるものでもない。


自然な気持ちなんだ。



私もいつか
素敵な恋が、出来るかな。


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