時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
電車通学の澪衣と
駅で別れると
私は駆け足で、家路を急いだ。
次の角を曲がれば
家は…もう直ぐ……
次の……角を……
「…愛舞?」
『…輝夜!?』
「お帰り、愛舞!」
太陽が傾き、暮れはじめた空に
宵待の月が、そっと姿を現していた。
『待っててくれたの!?』
「うん!」
『…ありがとう』
「ううん、寒かったろ?
家に入ろう!」
『うん!…輝夜は?』
「俺は…
『「窓から!!」』
二人の言葉が重なった。
『「あはは!!」』
二人の笑い声も重なった。
「おいで!」
輝夜は私を抱きしめると
家に入るまで見守ってくれた。