時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
『ただいまー!』
「お帰りなさい
今日は早かったのね?」
『うん!』
「愛舞ちゃんいい子!」
私のお母さんは
おっちょこちょいで、可愛い人。
それに
明るくて前向きで、元気な人。
『着替えてくるねー』
階段を駆け上がり
部屋のドアを静かに開けると…
えっ!?ええーっ!?!?
暗い部屋に…輝夜と……光の粒?
色とりどりの光の粒が
部屋中に漂っていた。
『…………妖精?…』
「…愛舞!フェアリー達が
見えるの?」
『……う…うん!?』
「…見えるようになったんだね」
そう言うと輝夜は
とても悲しそうな顔をして
私を強く抱きしめた。
『……痛い…どうしたの?』
「…思い出しただけ」
「…愛舞を、離したくない…」
『…大丈夫…何処にも行かないよ』
「…………」
『…今、何て言ったの?」
「何処にも行かないよ……って
ここは、愛舞の部屋だよ」
そう言って、クスクス笑い出した。
『もー!!!』
悔しくて、胸をポカポカ叩くと
さらに笑い出した。
『もー!!もー!!』
ポカポカと胸を叩き続ける
私の手を掴むと
「愛舞!手が荒れてる!」
と言って、ガサガサの指先を
擦り始めた。
恥ずかしくて引っ込めようとしても
阻止するように、また掴んできた。
『…お花の手入れをすると
荒れちゃうの!』
「花?」
『うん!ガーデニング部だから』
「花、好きなんだ?」
『うん!大好き!』
「そうか」
「愛舞にいつか
見せたいものがある!」
『私に?』
「うん!いつかきっと
連れて行くよ!」
『ほんと?楽しみ!』
輝夜は、とても嬉しそうに微笑んだ。