時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
時計は既に8時を回っていた。
『いけない!遅刻しちゃう
行って来まーす!』
私は、慌てて玄関を飛び出した。
こんなに全力で走ったのは
いつぶりだろう。
校門まで後少しというところで
足がもつれて
身体が前のめりに傾いた。
『…ああっ!』
危ない!!と思った瞬間
フワリと身体が宙に浮いた。
「大丈夫か?」
『…か!?嘩純くん!?」
「危なっかしいな、月ノ瀬!」
『ご、ご、ごめんなさい!
遅刻しそうで、急いでて…』
転びそうになった私を
嘩純くんが抱き上げてくれたのだ。
『ありがとう!嘩純くん』
「おー!任せて!」
照れ臭そうに微笑む嘩純くんと
一緒に教室へ向かった。