時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
「うー、おはよう
遅いから心配しちゃった!」
「嘩純くんと
待ち合わせしたの?」
澪衣は、机に両手をつき
艶々の黒目を輝かせながら
私の答えを待っている。
「ちっ!違うの、偶然!」
「なーんだ、偶然なの?
でも、二人並んでる姿
意外とお似合いだったよ♡」
『やっ!…え!?…意外とって
何よー!」
「きゃあー!うーちゃま
怒らないでー!」
何だか、毎日この調子で
澪衣にからかわれそう。
嘩純くんと付き合ったら
きっと幸せだと思う。
なのに…輝夜のことが
頭から離れない。
『あのね、澪衣……』
「うん?…どうしたの?」
『ううん…何でもない!』
「そっか!
てっきり、恋する乙女宣言が
聞けるのかと思った、ふふっ」
『…あの……あのね、相手は
嘩純くんじゃないの』
「えっ?うーちゃま
他に好きな人がいるの?」
『うん…好きっていうか
気になって仕方ないの』
「そうなのね
でも、相手が誰だろうと
私は応援するだけよ!」
「ねっ!うーちゃま」
『澪衣っ、ありがとう!』
澪衣の力強い言葉が
私に勇気をくれた。
嘩純くんと話さなきゃ。