時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】


中庭に着いた私は
一瞬、目を疑った。


昨日まで元気に咲いていた花が
半分以上倒れていた。



『……どうして…』


近付いてみると
花も葉もバラバラに破れてしまい
周り一面に散らばっていた。


『お花……どうして…』


私は、傷ついた花や葉を拾い
残った花の根本に集めた。


『お花が可哀想…
どうしてこんなことに』


悲しくて涙が溢れた。



フェアリーは、花壇の上を
何度も繰り返し飛び回った。


羽から溢れ落ちる鱗粉が
花達に降り掛かり
涙のようにキラキラと輝いた。



『…ありがとう
一緒にお世話してくれて』



駆けつけてくれた仲間や先輩も
優しく励ましてくれた。





帰り道、今日の出来事を
澪衣に話した。


「そんなことが!?
信じられない!どうして?」


「うー、辛いよね
大切なお花が傷ついて」


「あ!私、電車一つ遅らせても
平気よ!」


「うーのお花を見に戻ろう?
私もお手伝いしたい!」



『……うん…ありがとう
ありがとう…澪衣』


澪衣の思いやりが嬉しくて
また、涙が溢れた。




< 26 / 47 >

この作品をシェア

pagetop