時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
次の角を曲がれば
家は…もう直ぐ……
「愛舞?遅いぞ」
『……居た!』
「何だよその顔?何かあったか?」
『ううん、何も!』
「そうか、それならいいけど」
輝夜の顔を見てホッとした。
「じゃあ、家に入ろう」
『…俺は、窓から?』
「真似するなよ!」
『やだー!明日も真似する!』
「何?…これでもか?」
輝夜は左手で私の顎を押さえると
右手で唇をキュッと摘んだ。
『!?んっ…ん!』
「もうしないか?」
私が首を横に振ると
輝夜はおでこが触れるほど
顔を近付け
また質問してきた。
「もう、真似しないか?」
私はまた、首を横に振った。
「いい度胸だ!」
そう言うと輝夜は
顎を押さえていた左手で
私に目隠しをしてきた。
そして次の瞬間
キュッと摘まれた唇に
柔らかいものが触れた。
……何⁉
唇を摘んだ右手が離され
目隠しを外されると
今度は優しくキスされた。
身体中が熱くなり
心臓が壊れそうになった。
「愛舞、好きだよ」
『………私も』
自然に言葉が溢れた。