時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
そう言って彼は
私を抱きしめたかと思うと
急に力が抜けたように
動かなくなってしまった。
『…!?…あ…あの…?」
『あの…大丈夫ですか?』
「………… 」
私の右肩に頭を乗せ
動かなくなってしまった彼の
顔を覗き込むと
静かに寝息を立てて
眠っていた。
『お、重いっ』
『眠かったんだ?』
『それより……誰なのかな…?』
「…………俺は…」
『えっ!?…起きてるの?』
「………グゥーグゥー…」
『ああっ!寝たふり!?』
寝たふりをする彼の腕の中から
逃げ出そうとすると
「………待てよ!」
と、また抱きしめられた。