時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
…着いた…の?
「愛舞
目を開けてみて」
眩しくて、目が眩んだ。
翼の中から顔だけ出し
目を開いてみると…
一面に広がる、お花畑?
「…て…天国!?』
「あははは、違うよ!
ここが、月の精霊の世界だよ」
「そして、この花が
フェアリー達が育てている
フレアの花なんだ」
「このフレアガーデンを
愛舞に見せたかったんだよ」
私に見せたいものって
このお花畑だったのね。
私が、お花が大好きって
話したから?
『輝夜…私ね
嬉しくて仕方ないのに
うまく言葉にできない…』
『ありがとう…連れて来てくれて
ほんとにありがとう』
果てしなく広がる
フレアガーデン。
フレアの花は
月見草によく似ていて
清楚で可憐なその姿に
心から癒される。
『…あっ!フェアリー!』
沢山のフェアリー達が
フレアガーデンを
クルクルと飛び交っていた。
花に触れる度に
キラキラと舞い上がる
色とりどりの光の粒は
きっとフレアの花粉。
この光の粒が
希望の光なのかもしれない。
幻想的な光景に夢中になり
身を乗り出してしまった私を
輝夜は翼の中に隠すと
微笑みながら言った。
「王宮へ行ってみよう」