時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】
『幼い頃から、私は
お月様と話すのが好きだった』
『お月様を見ると
恋しくて堪らなくなった』
『だけど、本当は
お月様じゃなくて、輝夜のことが
恋しかったのかもしれない』
「たとえ住む世界が違っても
流れる時間が違っても
俺には、愛舞しかいない…」
『輝夜…ありがとう』
『輝夜が、好きだよ』
「愛舞…」
輝夜の唇が
そっと私の唇に触れた。
『好き…』
「俺も…」
好き…好き…好き…
何度もくり返される、キス。
顔の輪郭に沿って
優しく両手を添え
長い長いキスをする輝夜。
もう、何もいらない。
これ以上、何も望まない。
ただ、一秒でも長く
輝夜と居たい。
「愛舞は…俺のだ」
『うん…』
私達は、手を繋いだまま
一緒に眠った。