時空(とき)を越えて KA GU YA【前編】


私達の話を聞いていた
スズランちゃんは

涙を隠そうと
必死に目を擦っていた。


それでも小さな涙の粒は
ポロポロと溢れ落ちてきて
止まらなかった。



思わず駆け寄り
人差し指で頭を撫でると

涙をいっぱい溜めながら
一生懸命笑ってくれた。



たとえ言葉が通じなくても
こうして心を通わせることが
出来るのかもしれない。


私達のために泣いてくれて
ほんとにありがとう。



嘩純くんとお母さんを
ずっと見守り続けてきた
スズランちゃん。


フェアリーは
真実の愛を探して旅をしてると
輝夜は言っていたけど


スズランちゃんこそが
真実の愛を持つ存在だと思う。



どうか嘩純くんのお母さんが
早く元気になりますように。



スズランちゃんの愛が
嘩純くんに届きますように。





急に、輝夜が恋しくなった。




いつもの角で
輝夜は待っていてくれた。



私の中で、だんだん
大きな存在になっていく輝夜。


輝夜の居ない生活なんて
もう、考えられないのに。


いつか帰ってしまうなんて
信じられない。


でも、それが運命なら
従うしかないんだよね?



今こうして側に居れる時間を
大切にしよう。




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